書かなければならない原稿の下準備として整理していた
情報のうちから、USCのHealth Communication Courseの 大学院カリキュラムのうち、主要科目の概略を私見に よる補足情報と共にご紹介。 USCのHealth Communication Courseは医学部(Keck School) の中の予防医学専攻と、コミュニケーション学部(Annenberg School :以下の本では「アンネンバーグ記念コミュニケーションズ学部」 と訳されているが、英語発音に忠実に訳すなら「アネンバーグ」だろう) のコミュニケーション学科(アネンバーグにはジャーナリスト学科もある) が共同で学際的に設立・運営しているコースである。 講義は以下のHealth Campusではなく、ほとんどが Alhambraという少し離れた(ローズボールのパサデナの 近く)こじんまりしたキャンパスの地下でやってます・・・ ![]() 米国ではヘルスコミュニケーションのカリキュラムが 多様な大学で展開していることは以前ご紹介 しました。 原文はこちらです。 *翻訳は省略していて適当なので、引用・二次利用に ついては原典をご参照し、USCに直接お問い合わせください。
以下、講義概要と補足情報。
教授陣はほとんどがHH&Sのボードメンバーでこの分野の権威です。 講義はほぼ全て10人〜20人程度の少人数で ディスカッション(すごく早い)主体で行われます。 先生が一方的に講義して終わり、というのは こちらではあり得ないようです。 COMM 510: 態度・価値・行動 (Attitudes, Values & Behavior) Michael Cody,PhD.(先学期学部向けの講義を聴講しました。 巨躯を揺らして楽しそうに講義する方です。ご近所です) 目的:社会影響の理論と実践を学ぶ。 特にドラマなどの素材を用いるcompliance技術 (一般市民の納得・順守・承諾を引き出す技術) によって対象者の態度・行動・意思・(エビデンスから 誤ったと判断できる)信条・既成概念などを変化させる ことを含む。具体的には、対面コミュニケーションの 技術からエンターテイメント・エディケーションという ドラマを用いて視聴者に影響を与えるスキルまで学ぶ。 合わせて説得理論(説得に関する行動科学・認知心理学の 諸理論)についても学ぶ。 COMM 520: マスメディアの社会的役割 (Social Roles of the Mass Media) Peter Clarke,PhD.(かなりのご高齢と思うのですが、 非常にキュートで情熱的な先生。後述するように Mayer先生との共同講義を先学期聴講しました) 目的:メディアがどのように言説を構築しているかを学ぶ。 マーケティングやメディア論の立場から特に米国の事例を 中心に疫学的・広告・商業主義・情報技術などの豊富な 知識と体験から講義する。 PM 526: 公衆衛生におけるコミュニケーション (Communication in Public Health) Tess Cruz, PhD, MPH(すごく人気のある女性教授:今学期聴講します) 目的:コミュニティ規模(マスを対象とした)の 健康推進・疾病予防コミュニケーションの効果を上げる ための方法を学ぶ。 ヘルスコミュニケーション分野の諸理論、情報の受け手分析、 一般市民のニーズ、メディアキャンペーンのデザイン・ 評価方法、ソーシャル・マーケティング (マーケティングのノウハウを公共の利益・福祉の向上に 活用する方法論)、 メディア・アドボカシー (翻訳が難しい言葉の一つ。マスメディア本来の価値を 有効活用するための一般市民や研究者の側からの メディアへの働きかけ、メディアとの協同のこと)、 メディアキャンペーンの先行事例の検討などを含む。 公衆衛生分野の院生向け。 COMM 528: 組織の視点からのウェブデザイン (Web Design for Organizations) Judson Ferris Ferdon & Josh Mooney (この先生達はまだ直接知りません) 目的:営利・非営利業界含めたインターネットの役割に ついて学ぶ。 営業利益・マーケティング・顧客サービス・公共広告・ 企業戦略・eコマースなどの視点から。 学生は実際の企業や組織の立場から考察することが求められる。 COMM 530: コミュニケーション技術発展の社会影響 (The Social Dynamics ofCommunication Technology) Bill Dutton, PhD (この先生もまだ直接知りません) 目的:コミュニケーション通信技術 (ICT)の発展により 社会がどう変化してきたかを学ぶ。 背景理論から現象を見る視点を育て、批判的科学的に ICTの社会・政府・教育・ビジネスの現場に おける導入とデザインを検討する講義だそうです。 PM 536: プログラム評価と研究 (Program Evaluation & Research) Thomas Valente Ph.D(今最もお世話になっている先生のひとり。 講義の面白さには定評があります。ご近所さんです) 目的:健康推進に関連する事業(マスメディアキャンペーンを含む) の評価のために必要な概念・介入・データ収集・分析の方法と 事業全体のデザインについて学ぶ。 実際のキャンペーン評価データを用いた統計パッケージソフト (SASおよびSTATA)演習を含む。より詳細はこちら COMM 575: エンタメ系メディアにおけるアドボカシ−と社会変革 (Advocacy and Social Change in the Entertainment Media) Lynn Miller,PhD.(この先生もまだ直接知りませんが、 今後是非聴講したい講義の一つ) 目的:エンターテイメント・メディア分野におけるアドボカシー と社会変革についての枠組みを提供する。 実際のサンプル(公共広告・社会科学・放送番組・電子媒体 など)を収集・検討し、特定の社会問題解決のために、 メディア活用(設計・評価)のための計画書・設計図を 各自構築する。 COMM 581: マスメディアと社会サービス:キャンペーンの設計と評価 (Media and Social Services: Design and Evaluation of Campaigns) Doe Mayer,PhD., Peter Clarke, PhD (Mayer先生はヨーガン・レールの似合いそうな素敵な おばさま。先学期聴講していた講義の一つ。目から鱗、 という体験をしました) 目的:社会サービスを営む組織(政府・行政機関・研究機関・ 財団・市民団体など)からどのように一般市民にメッセージが 送られ相互にコミュニケートされているか (戦略・方法・評価など)を学ぶ。 対人コミュニケーションによるアウトリーチ活動から メディア・キャンペーンまで。学生は講義と科学的エビデンス をもとに、自身のメディアキャンペーンアイデアを 構築・設計し予算獲得のために各財団や政府関係者に対して プレゼンする(仮想的に)ことが最終課題。 より詳細はこちら COMM 582: 国際協力・開発に関するコミュニケーション (International Communication:National Development) C.S. Bia, PhD & Ishita Sinha Roy, PhD (この先生達もまだ直接知りません) 目的:国家規模・地球規模での開発・国際協力に関する コミュニケーション・技術・メディアについて理解する。 欧米とその他の先進国や発展途上国との関係を通して グローバリゼーション、ナショナリズムについて検討する。 学生は背景理論を通じて事例を検討し、開発や国際化に 関して考察することが求められる。 COMM 583: グローバルなエンターテイメント・エデュケーション事業 (Global Entertainment Education Programs) Michael Cody,PhD.(前述) 目的:ドラマや漫画を用いて知識の普及・啓発を行う エンターテイメント・エデュケーションの世界的な 展開について学ぶ。 具体的には健康・安全・人権・多くの社会問題についての 教育です。WHOの事業や米国主導の国際協力や発展途上国の 事例を通してその方法論と戦略・評価方法が紹介されます。 COMM 587: 聴衆(情報の受け手)分析 (Audience Analysis) Shelia Murphy,PhD.(APHAで知り合いました。素敵なお姉さんです) 目的:聴衆分析の基礎的な理論と方法について学ぶ。 古典となっている先行研究の検討や最新の方法論 (ニールセン社の視聴率・フォーカスグループ・ インターネット経由の購買調査・心理尺度・心理社会的分析・ shadow juries, exit polls: 最後の二つは勉強不足でわかりません。どなたかご教授ください) を通じて学ぶ。国内・国際社会におけるマスメディア世界を 分析・検討するためのツールを提供することがゴール。 上記講義のうち1部を実際に聴講し、それ以外の内容を ざっと見た印象では、以下のポイントがあるように思います。 0.医学部とコミュニケーション学部の学際カリキュラムである。 1.ディスカッション・演習重視:実践的な能力を構築する 2.当該分野の理論とケーススタディーの重視と充実ぶり (科学的思考・エビデンスに基づくデザイン) 3.教授陣の「学生のニーズに応えようとする」努力・姿勢の高さ いずれも経験上、日本の大学院教育(特に医学保健系)では 得にくい場合が多いですし、何より医療・医学・保健・看護系 においてこういった分野(ヘルスコミュニケーション)の 知識・ノウハウ・実践能力を体系だって学び、身につける場が 日本にないことは非常に問題だと思います。 この日米差は深刻です。 関連分野の諸先輩方やこういったテーマにご興味ある方の ご意見・ご批判・アドバイス・コメントをお待ちしております。 ![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
|
ブログ内検索
|
|
|
|
プロフィール
|
|
Author:taka
|
|
カレンダー
|
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
|
|
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
|
リンク
|
|
RSSフィード
|
|
|
|
Powered By FC2ブログ
|
|
|