ヘルス・コミュニケーション日記
もとヒヨっ子研究者の会社員2年生が、ヘルスケア領域の話題や子育て日記、趣味等思いつきで綴ります。
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産科で聞かされる「リスク」という言葉
の多さと印象に色々考えることがあったので備忘録代わりにメモ。
ヘルスコミュニケーションの基本は人対人のコミュニケーション
(interpersonal communication)っつーことで。

次男をもうすぐ出産予定の妻に付き添って(まだ生まれてません。
念のため)、産科の妊婦検診を受けているのですが、
医師によっても個人差はもちろんあるのですが、
非常によく使われます。この「リスク」という言葉。

「○×さんは△△(身体的な特徴や年齢)だからリスクになっちゃんですよね~」
というせりふが隣の診察室からも聞こえてくる。
「~だからリスク」って日本語がそもそもどうなのか?と
翻訳家ぶって一人で考えてみたりしているうちに
米国での主治医の態度との違いが非常にわかりやすい
ことに気付きました。

個人のオフィスなので患者に対するサービス精神や接遇に対する
インセンティブがそもそも異なるのだから比較しちゃいけないの
かもしれないですが、やっぱりすごく違うわけです。

米国での主治医はとにかくまず笑顔。深刻な話をするときでも、
患者や夫を安心させ勇気付ける方向にしっかり持っていく印象が
あります。

妻も言っていたのですが、乱暴な言い方をすると、その患者の状況の
良い面に光を当てる感じですね。

しかし日本では逆。
コップ半分の水を「半分もある」と表現するか「半分しかない」と
判断するかの違いかな。

笑顔に関してもこれまでに診て頂いた4人の医師のうち
笑顔があったのは一人のみ。人と人のコミュニケーション上、
表情はすごく重要なのでここは看過できないところです。

日本の医師は笑う余裕も無い、のか。
これは深刻だなあと。
それとも日本では専門家-非専門家コミュニケーションで
笑顔を出さないでも良いという状況が結構あるのでしょうか?

いや、深刻な病気を抱えている患者に対処しているなら
わかるんですが、おおむね問題の無い(切迫早産を乗り切った
ので「無くなった」が正確)妊婦なのでねえ。。。もっと喜びに
満ちた(もしくは喜びの一端を共有した)態度があっても
いいよねえ、なんて思ってしまうわけです。

なんで本来称えられ歓迎されるべき作業を
している妊婦さんがそういう目にあわないといけないの?
ってなことが日本にはたくさんあるような気がするわけです。。。

妊娠を穢れとした時代の名残なんでしょうか???

順調に経過しているのに「リスク」「リスク」といわれ、
妊婦やその夫はなんだか自分達が悪いことを
してきたみたいな、自分達が何か問題を抱えた
存在であるかのような意識をもたされるのです
(少なくとも管理人はそういう違和感を感じたわけで)。

言う方にその自覚が無いのが更にやっかい。
だって医師たちは善意の人ですから。

自分の理解では妻は大したリスクがある方とは
思えないし、そんなに連呼しなくてもと
思うのですが(あともう一つ印象点を下げることが
あったのだがそれはまた後日)。

自己防衛(訴訟対策)の意味合いもあって業界的に
多様の傾向があるのかもしれないですが、
にしてもなあ、という感じ。

単純に「リスク」という単語がいけないようにも
思います。何か無いんですかね。日本語で。
「リスク」って専門家からすると明確な何かを言っているの
かもしれませんが、いわれた方にはあまりぴんとこない
単語だと思います。

「危険性」という日本語よりも「(損失)可能性」の
ような気がします。自分達が医師から言われたせりふの全てを
「(損失)可能性」で置き換えると印象はちょっと違う気もします。。。

で、何を損失するのかを具体的にわかりやすく逐一説明して
もらえると(そんな時間はないと言われそうですが)、
かなり違ってくるように思います。つまり「リスク」という言葉は
正体が見えないのです。専門家にとっては便利な言葉であり
素人にとっては正体が見えないので専門家の「権威」(カタカナ語)に
よってやりこめられた感を受けるのかもしれません。

にしても、専門家の端くれの管理人でも、言われる側として当事者として
聞くとなんかぴんとこないわけです。「だからなんなの?」って感じ。
「どうしろっての?」みたいな反発心すら沸いたりして。

あとは先生たちに与えられた時間という要素。
激務の中でとにかく効率よく処理しないといけない状況だから
(もしくはそれが習慣づいてしまっているから?)か、
異様な早口で同意書の類や入院に関する諸説明を受けました。
一昔前のファンカーゴのCMか!って感じ。

最初冗談かと思いましたもん。

米国でも分厚い同意書など誰もちゃんとは読んでない
気がするけど、にしてもあからさまに早口で何かの
情報を提供されるくらいなら、よく読んでサインして
持ってきてくださいの方がまだ良いようにすら
思えてきます。いや、口頭で説明しなきゃいけない
きまりなのよ、ってのもわかるんですが。

日米の医療に一長一短あるのは理解しているつもりですし、
良いとこを足して二で割ったら丁度良いのになあ。。。

自分だって忙しい病棟で細かい患者さんの対応に四苦八苦した
経験があるから働く側の論理もわかるのですが、いや、やはり
サービスという言葉の意味を考えさせられる体験では
あります。とくに出産については自己負担額が保険が利く米国と
大差が無い(場合によっては保険を使った米国の方が
安いこともある)ことを考えると、費用対効果の面でも
瑣末なストレスも余計に気になってきます。

つまり、出産に関しては「お金がすごく安く済んでいるんだから
少々のことは我慢しよう」というモチベーションの持ち方に
限界がある、ということ。

こういう重箱の隅つついてても仕方ないのかもしれないけど、
産科医不足でますます先生達が丁寧な対応や言葉遣いへの
配慮までの「人間的なゆとり」を持てる余地は減っているのだろうからこそ
こういう体験をメモしておくことには意味があるように感じてます。

妻がかかっている病院の先生達を批判しているのではなく、
この違和感ってどうやったら埋まるんでしょうね、という
ことなんですが。。。

忌憚の無いご意見、コメントいただけたら幸いです。
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【2008/01/11 02:44】 | お仕事・研究・学び | コメント(7) |
<<生まれました | ホーム | 嵐の前の静けさ>>
コメント
いいえ、かつてはそうじゃなかったんだよ。
管理人さんの言うとおり、産科は基本的に生命が誕生する場であり、もっと明るい雰囲気が流れていたんです。忙しいことは昔も今も変わらなかったはずだけれど、医師の姿勢ははるかに前向きだった、

じゃあ、何が彼らを変えさせたのか?
産科医不足なんていうのは二次的に発生した問題であって、出発点ではありません。
決定的だったのは、何と言っても訴訟の増加です。医学的にいかに正しいことをしても、県立大野病院や奈良のように、言いがかりよろしく訴えられたり、犯罪者扱いされたら、やってられませんよ。そう、諸悪の根源は、医療行政と司法、そして何よりマスコミなんです。
医師不足なんていうのはしょせん数字上の問題にすぎず、本当の問題は彼らにボロボロにくじかれた「士気」なんです。医療コミュニケーションを扱う専門家として、このマスコミという医療を崩壊させたまぎれもない主役を、何とかしてくれますか???

日本だって、今でもちゃんと米国よろしく笑顔でゆったり診てくれるところありますよ。都内の金持ち病院産科とか、亀田とか、ものすごい料金で、患者数をはげしく絞っているところに行けばいいんです。

> 良いとこを足して二で割ったら丁度良いのになあ。。。

これまでも何度か書いてきましたが、「金と人」の要素を加味しないシステム論なんて、古臭い精神論と変わりません。
米国の産科医は、数千万円~億の年俸を得て、ちゃんと休暇もバッチリあるはずです。
【2008/01/11 10:53】 URL | 南十字星☆ #-[ 編集]
素晴らしくよくまとまったブログを見つけました。
■ ■ ■ 医療堕落論 ■ ■ ■
http://ameblo.jp/med/entry-10050058240.html

これを読んだ一般の人々(+マスコミども)は、「被害妄想だ」、「それでもサラリーマンよりはいい給料もらってるじゃないか」、「医師のくせに・・・」という反応を示すでしょう。でも、そんな批判は関係ありません。それは、いじめっ子がいじめられっ子の気持ちなど理解できないのと、全く同じ構図です。

これこそが、今の現場の気分なんです。
「結局、米国医療ってどうよ?」の質問に対する答えはまだ呈示してもらっていませんが、どうすればいいと思いますか?
いつまでも精神論を振りかざすのではなく、「人と金」というリソースに本腰を入れて踏み込まない限り、産科の現場に笑顔を取り戻すことは不可能でしょう。
【2008/01/13 01:12】 URL | 南十字星☆ #-[ 編集]
まずはじめにあなたとご家族のご健康をお祈りしております。私は内科医師をしております。医者と非専門家の感覚に違いを日々感じています。コミュニケーションに興味あります。
昔から良心的な医者は必要なリスクを説明していたと思いますが、最近の裁判では1%以上の確率の起きる事柄は説明すべきである、と司法判断しているようです。10万に1人のアレルギーも説明すべきであるとした判例もあります。
医師の立場からはまれな合併症まで説明することは患者さんの不安と治療から遠ざけることを懸念するする医師がかなりあると思います。
しかし裁判官(一部の警察・メディア)がリスクを説明することを進めているのであると思います。(米国でも数年前と今では大きく違うのかもしれません。日本でも数年前から医療のありさまが急速に変わってきました。)
出産もそもそもリスクのあることで、産婆さんが「大丈夫だよう~」といっていても、そのうち3%はハイリスクとなって産科医のところに送ってきます。産科医はハイリスク妊婦を69人救っても1人救えなかったら責められます。(昔は脳性まひは出産時の低酸素血症が原因と考えられてきましたが現在では周産期のトラブルが原因なのは1割程度です、それでも裁判では産科医の責任とされています)正当な医療を行なっても逮捕されることもあり、賠償金を取られることが多いので、医者は心理的に追い込まれているのだと思います。だから正常出産のリスクは10万の1でも心配するのです。
あなたならどのように説明するといいと思いますか?教えていただければ幸いです。

【2008/01/13 15:00】 URL | BloodDoctor #-[ 編集]
きっと大変お忙しいところを、何度も申し訳ない。管理人さんの指摘するとおり、「~だからリスク」という日本語は全くもっておかしく、「~がリスク・ファクターになる」というのが正しいだろう。日本語訳なら「危険因子」だけれど、統計学用語だから、かえって一般には誤解を生みやすい。

ところで、「安全」と「安心」に関する興味深い議論を見つけたので、ぜひ読んで下され。
http://d.hatena.ne.jp/Yosyan/
2008年1月16日のエントリー。

非医療関係者なんかもコメントをくれているけれど、環境リスク学という学問があり、安全は「リスク」として定量化できるため対策を打てるけれど、「安心」は人間の心理活動であるため、もちろん定量化は不可能。
さらには、「安全」と「安心」のギャップを埋めるには、住民(医療なら患者だが)に「正しい情報」を伝える以外に方法がないのだけれど、医療に100%の安全を求める現在の風潮では、徒労に終わる可能性が高いと結論されている。
勉強になりました。

【2008/01/17 22:19】 URL | 南十字星☆ #-[ 編集]
南十字星☆さんいつもコメントありがとうございます。
勉強になります。
自分が興味があるのは、コミュニケーションの技術の
問題です。少しの言い方の違いで、患者が受ける
印象はかなり違いますし、同じ言葉を言うのでも、
表情が違うだけで患者は違う意味に受け取ります。
そういう部分で自分が帰国後体験した医療現場の
先生達にかけている部分があることは事実ですし、
そういう「技術」について体制が整っている
わけでもない(変化はしていますが)ことに
興味があるわけです。
自分はメディアについて勉強はしてきたけど、
いわゆる「メディアの人間」では今のとこ
ないので、そこんとこよろしくね。

教えていただいた記事については後日コメント
します。さんきゅー。
【2008/02/01 10:48】 URL | taka #-[ 編集]
BloodDoctorさまコメントありがとうございます。
お返事が遅れたことをお許しください。

まずはじめに先生方の置かれている大変な
現状に深い同情の念を表します。
自分には医師の友人が多く、自分は彼らや
先生方が働きやすい環境に一日も早くなる
ことを祈っている人間です。その点をまず
ご理解いただきたく思います。

その上で更に補足しますと、自分は
BloodDoctorさんにご指摘いただいた
問題や司法の問題に関わっているわけでも
ありませんし、そのような力もありませんし、
自分がやりたい仕事でもありません。

しかるべき方々が精力的に活動
されていますので、落ち着くところに落ち着くの
だと思っています(それを先生方が気に入るか
否かはさておき)。

ここで自分が興味を持っているのは、
「説明の仕方」に含まれる態度や言葉遣いや
表情のレベルの問題です。これは体制に
関わらずその先生の品性や人間性や職業意識
の問題でもあります。また人的コミュニケーション
の技術の問題でもあります。「リスク」と言われた
からといって訴訟が減るとは思えません。

「自分が今患者に言った言葉遣い、態度で、
自分が患者として別の医師に言われたときに、
あの人はどう感じるんだろう?」
そう思わされる医師が実体験として
散見されたのは事実ですし、その違和感に
ついて述べました。

解決策は人間として当たり前のレベルのことも
政策レベルのことも含むのだと推測します。
自分に出来ることは何か、医師支援なのか、
患者支援なのか、病院支援なのか、医療政策
支援なのか、身の丈にあった方向性を考えて
またエントリにしたいと思います。

エントリのヒントをいただきました。
コメントに重ねて御礼申し上げます。
【2008/02/01 11:01】 URL | taka #-[ 編集]
このコメントは管理人のみ閲覧できます
【2008/05/15 02:02】 | #[ 編集]
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東京都世田谷区在住のじょに~です。長年慣れ親しんだ杉並区を離れ、先月隣の区に引っ越しました(ついでにハンドルネームも会社で頂いたコードネーム?に改名^^;)。興味があるのはヘルスケア領域のビジネス、ヘルスコミュニケーション(特にメディア経由)、シリアスゲームの医療健康分野における活用、医療ドラマ、医療者患者関係、医師支援、ワークライフバランス、翻訳、子育て、映画など。数年前南カリフォルニア大学(USC)でヘルスコミュニケーションについて学びました。帰国後は企業で医療分野のビジネスに取り組んでいます。通信制MBAでMBA取得。もともと看護師ですが博士号(医学)は社会医学領域で取得。シリアスゲームによるヘルスコミュニケーションにも興味を持っています。
引越し先にも慣れ、世田谷の畑の多さに驚きつつ、近所や公園を二人の息子達と散歩しつつ考えたことや日々学んだことなど書き続けていきたいと思います。

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