ヘルス・コミュニケーション日記
もとヒヨっ子研究者の会社員2年生が、ヘルスケア領域の話題や子育て日記、趣味等思いつきで綴ります。
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恵まれている人は、自分が恵まれていることに気付くのが難しい
のかな、なんて思いました。
ヤツの入院で米国の入院医療を体験して。

誰の話かというと、日本の小児医療と医療保険を
享受している「日本の親」の立場としての自分達、
と言いますか。

今回ヤツが受けた治療は、日本なら
乳幼児医療や自治体の補助で医療保険の保険料の他の
自己負担額はほぼ無料のことが多いそうです
(自治体による)。これは素晴らしい&すごいことです。

ところが、米国では非常に事態が異なります。
一家で毎月400ドル近い(4万5千円弱)保険料を
払っていながら、クリニックでの治療で1回当たり
100ドルを超える自己負担を更に払うことは当たり前ですし、
それ以外にクリニックに1回いくだけで治療内容に関わらず
co-payという規定の料金
(自分の保険の場合40ドル=5000円程度)を払います。

今回の入院も高額なグロブリン製剤を使っていますし、
病気の心配の後にお金の心配がついて
回るわけですね。しかも自己負担額がわかるのは数ヵ月後
です。忘れたころに不正確な(ミスの多い)請求額が
来ます。誰も自己負担額の全貌を把握してません。
保険のエージェント(代理店の人)ですら。

意味がわかりません。
なぜ不平不満が続出しないのでしょうか。
多分、医療保険があるのは当たり前のことではなく、
無い人も多い国だからではないでしょうか。
期待値が低いのです。期待値の高い国から来た日本人は
だからこそ戸惑い、不満(というか呆れる)を
持つわけですね。

支払う保険会社自体(自分の場合Blue Cross of California)
はテレアポがだめな人が多くて一つの情報を得るのに
半日以上時間を要すこともあります。

しかもテレアポによって言うことが違ったりして、
比較的優秀なテレアポを見つけるまで苦労しますし、
そして見つけたら名指しで指名してずっとその人を活用する
というような「技術」まで必要です。

日本では少なくとも退院時に自己負担額、わかりますよね?
保険会社にしても、病院にしても、問い合わせたら
(時には慇懃無礼な態度にいらっとしつつも)、
事務処理で初歩的なミスを繰り返すことはほぼ無いですよね?

米国ではあるんです。名前の間違い、請求額の間違い、
患者情報の間違い(ヤツは生後7ヶ月の時、データベースに
7歳と記載されていてうその請求額が毎回来てましたし、
それを直させるのに4回同じミスを繰り返しました。毎回
直すように電話で直訴し、マネージャークラスの人を
名前まで確認して呼びつけて直させたにも関わらずです)
など、枚挙に暇がありません。事務的な手続きは公的機関
も民間会社のサービスも、どちらもまともにいくことの
ほうが珍しい。

妻とも話したのですが、お金の負担と、それにまつわる
作業の煩雑さから開放されている日本の現状、
その「ありがたみ」を日本の親は(渡米前の自分達も含めて)
ほぼわかってないよね、という率直な実感があります。

では「恵まれていることに自覚的になる瞬間」とは
どういう時かというと、自分たちのように収入に余裕が無く
かつ企業などの支援も無く、病気(今回は子供の病気なので
特に違いが明確)で米国医療を受けざるを得なかった場合
でしょう。つまり、やはり自己負担があるからこそ、
無い場合のありがたみがわかるわけですね。

この論理を進めると、上記の負の螺旋を解きほぐすには、
やはり一時的にかもしれませんが、
「恵まれている人に恵まれている自覚を呼び覚ます
フェーズ」というのが必要になってくると思います。

具体的には小児医療1割負担、その分の財源を子育て支援に
当てて少子化対策にするとか、小児科医育成や地方派遣の
助成に当てるとか、
予算全体のバランスを取りつつ、医療現場のモチベーションを
下げない工夫が必要なのでしょう。

子育ては日常のことで日々お金や労力がかかりますが、
病気は通常、非日常であって、大抵の場合は短期間です。
非日常にお金がある程度かかるのは仕方が無いことです。
親の実感としても、低所得者(?)としても
何も無料である必要は無いのかも、と思うわけですね。

日本人は特に、「ただ(無料)のものをありがたがらない」
気もしますし。

そのアンバランスを解消する思い切った施策が、あくまで
「一時的に」かもしれませんが、必要と感じます。
(永続すると米国同様、医療に関しては「住みにくい国」に
なってしまうし)

医療費抑制に貢献しつつ、親の自覚を促し、自分で対処できる
レベルの病気(軽い発熱など)には勉強させて(インター
ネットがあります)自分で対処できる能力を醸成し、
小児科の救急をコンビニ病院化させない(医療資源の
有効活用+小児医療者のモチベーションを下げない+
加療不要な患者を減らす⇒健全な競争原理を導入する)
ためにも、小児医療にかかる自己負担を限定的
に一時的に増やすのは必要なことのように思えてきます。

親が小児の疾患について基礎的な対処方法を勉強したり
ハウツーを学ぶサイトを構築したりサービスを提供
するのはそれほどお金のかからないことですし、現行
既にある程度のリソースがありますし。やはり子供の
病気については「いかに親を主体的に成らせるか?」だと
感じます。お金は一番切実でわかりやすい。

限定的に、と書いたのは高額医療(何を高額、とするかは
収入によって換える、など配慮が必要でしょうが)が
必要な場合は無料の方針を続けるとか、逓減制を用いるとか。

とにかく、無料、というのはあまりにtoo muchなありがたさ
であり、親が思考停止していることが想像できます。
思考停止が生むのはモラルハザードであり、医療者に対する
横暴や不敬であり、
「医療サービスがただで受けられるのは当たり前」という
大きな誤解・勘違いであるように思います。

ただで受けられるのは理想ですが、世界における常識では
ありませんし(日本や北欧くらいじゃないのかな?)、
医療費の問題は企業でも国家でも非常に深刻です。

ちゃんとしたデータ等はありませんし、ジャストアイデアを
専門外のことに口を出してる感がありますが、今日のところは
乱暴に書いておいて、後日、ちゃんと整理したいと思います。

率直なご批判・ご意見・コメント・感想など歓迎です。
体験から学んだヒントを基にしたブレストに、
お付き合いいただけると幸いです。
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【2007/08/28 23:59】 | お仕事・研究・学び | トラックバック(0) | コメント(2) |
<<Paul PottsデビューCDに感涙 | ホーム | 米国小児科入院体験レポート(その6)>>
コメント
さすがやね。ぱっと思いついて、これだけ "to the point"の論をまとめてくるなんて。

「水と安全はタダ」にプラスして、「医療もタダ」で当たり前になってしまってるんだな、日本人は。
少なくとも小児医療を混乱と疲弊に陥れている大きな原因の一つが、この小児医療無料化にあると言われています。

政治家にとっては、選挙に確実に効くリップサービス。
無料だから、ますます多くの軽症(いや、医療介入が不要の人)が気安くなだれ込む。でも、当然、医師の返事は、「問題ないですよ」か、「風邪ですよ」。
それを聞いた患者は、「そんなこと素人でも言えるわい。タダで当たり前じゃ。」という不遜な態度になり、医師が「大丈夫」という言葉の裏で、色んな重大な病気の可能性を専門的知識の下に否定していることになど、思いをはせることすらない。逆に、ますます医療不信に傾くだけ。
この悪循環・・・

> なぜ不平不満が続出しないのでしょうか。
> 多分、医療保険があるのは当たり前のことではなく、

まぁ、一種の諦念なんでしょうな。
資本主義の名の下に、米国社会で最も強いのは資本を持つ者、すなわち医療の分野では保険会社にほかならない。それに寄生する政治家たち。
米国での個人破産の原因の第一位は、医療費を払えないことによるものだそうだ。そこまで大きな社会問題であっても、しょせん資本主義は民主主義よりはるかに強いのである。
ちなみに、小泉を支持した有権者は、資本主義が支配する医療・福祉に、不覚にも(?)賛成したのである。明らかに、「無料医療」の対極であり、これまた愚かというより他なし。大半の人は後になって気づくのだろうが、時すでに遅しである。

ちなみに北欧は医療費がタダかもしれませんが、日本よりもはるかに高い税金を負担していることをお忘れなく。

> 専門外のことに口を出してる感がありますが

いやいや、そんなことないよ。米国医療と日本医療の違いをメディアを使って、より痛烈に日本人に思い知らせる方法がある。
このブログで、「ER」なんかの医療ドラマあらすじがよく紹介されているけど、毎回、最後に「この患者さん、○○○万円なり!」って計算して付け加えればいい。あるいは、海外医療ドラマを日本で放送するときには、常に治療費が締めていくらになったかを示してやればいいんだな。
きっと、効果絶大!

今日の管理人さんの建設的な意見、マスコミは本当は気づいているけど意図的に無視しているのか、そこまで洞察できていないのか、どっちなんだろう?
【2007/08/30 10:43】 URL | 南十字星☆ #-[ 編集]
南十字星☆ さんコメントありがとう。
1割負担の合計などは簡単に試算できると思うので
時間が出来たらやろうと思ってます。君への宿題
レポートと合わせてね。

> 今日の管理人さんの建設的な意見、
> マスコミは本当は気づいているけど
> 意図的に無視しているのか、そこまで
> 洞察できていないのか、どっちなんだろう?

僕の書いたことが建設的な否かはさておき、
マスコミ≒新聞の人と解釈すると、新聞屋さん
は人にもよるけど読者の反感買うような
「自己負担増やせ」的なことは言えないの
かもしれないね。今度知り合いの人に聞いて
おくよ。彼らは基本的に頭が良い人が多いし、
プライドもすごく高い人が多いから、単に
気付いてないだけだと推測。
気付いてたらブンヤの矜持として書くはず。

または彼らも自分が同じ立場で体験しないと
わからないのかもね。ま、当たり前だけど人によるね。
【2007/08/30 16:12】 URL | taka #-[ 編集]
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東京都世田谷区在住のじょに~です。長年慣れ親しんだ杉並区を離れ、先月隣の区に引っ越しました(ついでにハンドルネームも会社で頂いたコードネーム?に改名^^;)。興味があるのはヘルスケア領域のビジネス、ヘルスコミュニケーション(特にメディア経由)、シリアスゲームの医療健康分野における活用、医療ドラマ、医療者患者関係、医師支援、ワークライフバランス、翻訳、子育て、映画など。数年前南カリフォルニア大学(USC)でヘルスコミュニケーションについて学びました。帰国後は企業で医療分野のビジネスに取り組んでいます。通信制MBAでMBA取得。もともと看護師ですが博士号(医学)は社会医学領域で取得。シリアスゲームによるヘルスコミュニケーションにも興味を持っています。
引越し先にも慣れ、世田谷の畑の多さに驚きつつ、近所や公園を二人の息子達と散歩しつつ考えたことや日々学んだことなど書き続けていきたいと思います。

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