ヘルス・コミュニケーション日記
もとヒヨっ子研究者の36歳新人会社員が、ヘルスケア領域のビジネスやコミュニケーション、子育て日記、趣味等思いつきで綴ります。
【私見その7】良い医者が探せるようになったら・・・
本日は前回までの小児科医K先生の同級生で
呼吸器内科医のK先生からのメールを紹介します。
小児科K先生の意見を踏まえて、また少し違った
角度からのご意見です。

(それにしても管理人の友人は"K先生"ばかりですね。
スーパードクターK'sとかいうチームでも作りますか)
(何の?)
--

いつもながら問題提起ありがとうございます.
僕もちょっと考えたことを文章にしてみます.

まず,前提として,
僕は呼吸器内科医なので喘息,肺癌,COPDなど,
高齢者の治らない病気を主に診ています.
侵襲を加えて治そうとする外科,通常は健康で
当たり前の小児科,つらいけれども命に関わることが
少ない眼科,耳鼻科など,診療科ごとに医者の価値観は
違うと思います.

その上で,
僕は今回の一連のテーマを3つに分けて議論した方が良いように思います.
・「良い医者」をどう定義するか
・その「良い医者」を一般の人がどうすれば見つけられるか
そしてバーのマスターの件に関しては
・医療関係者の知り合いが病気になったらその医療関係者は
どうするのが最も良いか
です.

まず,「良い医者」の定義ですが,状況によって患者に
とってのいい医者というのは異なってきます.
当然のことながらかかった病気によって腕のいい医者と
いうのは異なります.かかった病気が同じでも重症度や
進行度が違えば別の医者がいいこともよくあります.
同じ病気の同じ状況でも患者や家族が何を求めているかに
よって適切な医者が異なることもあります.

また,逆にある病気の同じ重症度で一定の価値観が
あった場合にその状況に対応するのに適した医者は
探せば意外と多かったりもします.

状況によって最適な医者は異なるにも関わらず,
また,状況に適した医者が少なくないにも関わらず,
一般論として良い医者を定義しようとすることは
その良い医者の価値が普遍的であるような印象を与え,
無意味であるだけでなく有害になる可能性もあるかと
思いますがどうでしょうか.

自分のおかれた状況によって良い医者というのは違いますよ,
という情報を発信した方がいいと思います.
小児科医K医師のいい医者探しはいい恋人探し,というのは
言い得て妙ですね.

同じように,医者のコミュニケーションスキルは腕と同等に
重要か,というテーマも状況によって違うと思います.
僕は漠然とですが,治る病気は腕の方がより重要で,
高血圧,糖尿病,進行癌のように治らない病気は
コミュニケーションスキルも重要になってくるかと
思ってます.

次の良い医者探しの方法ですが,
やはり内部事情を知っている医療関係者に聞く以上の
情報はなかなかないでしょう.僕も時々相談を受けます.
K医師の言う通り,医者は自分の専門や勤務歴のある
病院以外の医者・病院の情報は乏しいですが,情報を
持っている知り合いの医者は非常に多いので
困ることはあまりありません.

問題はそんな知り合いのいない人ですね.
K医師の言う通り,経験数は一つの目安です.
現時点ではあとは学会の専門医制度でしょうか.
病院が自分の病気の該当学会の認定施設であるのか,
主治医が専門医であるのかは重要です.

治療成績はあまり参考にならず,かなり悪いのは論外として
あまり良すぎるのもかえって怪しみます.
多くの医者が参加して互いに評価し合い,それを
オープンにしたら患者にとってはベストでしょうが,
まあ,無理な話でしょうね.

医者の閉鎖性もありますし,病気もゴマンとありますし.
今後実現可能な方法はどんなのがあるんでしょうかね.
何かいい方法があったら是非,教えて頂きたいです.

長くなりましたし論点がまったく異なるので
三点目についてはまた後日,メールします.

--

以上引用終わり。
K先生ありがとうございました。

状況によって「良い医者」が変わる、というのは
このテーマの本質かもしれません。

>無意味であるだけでなく有害になる可能性もあるかと
>思いますがどうでしょうか.

これ、この通りだと思うのですが、
同時に一般の人はやはり「良い医者」というシンプルな
キーワードで検索するんですよね。
定義は難しいが、目安や手がかりはある、という
ことを啓発することには意味があるように思います。

慢性疾患でよりコミュニケーションスキルが重要、という
のも同意します。が、心臓外科でコミュニケーションも
へったくれもない先生達を結構見てきた管理人から
すると、社会人としての最低限のマナーも持たずに
執刀医になっている人も結構いるので、そういうのは
もうそろそろ勘弁して欲しいな、とも思います。

医者同士の内部情報を、一般の人たちは求めている
わけですが、誰にでも手に入る情報ではありませんよね。
ご指摘の通り、どうすればいいのでしょうね。
この点も「良い医者探し」の中心となるテーマだと
思います。医者に嫌がられず、医療を受ける側にも
妥当なコストで済み、かつ信頼できる情報インフラの
構築が可能か、という点です。
やっとTaejunomicsさんの議論に追いついてきた感が
ありますね。

> 何かいい方法があったら是非,教えて頂きたいです.

全体の底上げ、やれることからやる、
という意味ではやはり免許更新制度の導入は
現実的かつ自然なことなのでは、と思います。
勉強熱心で常に自己研鑽を怠らない医師ばかりだと
いいのですが、現実はそうでもありませんし、
自分を振り返っても、日進月歩の医療業界で
知らないことは日に日に増えていきますから。

フリーアクセス(誰でもどこの病院でもかかれる:
これ、世界的には当たり前のことではありません)が
保証されている日本では、
「良い医者」を増やす、探す、というだけでなく、
「技量の低い医師」を減らすことも現実的な
方策だと考えます。

たいていの場合、たいていの人は、
「そこそこの医療」が受けられればOKなのでは、と
思うからです。


呼吸器内科医師K先生からのメールは2通目もありますので、
後日紹介します。
【2006/10/17 23:05】 | お仕事・研究・学び | トラックバック(0) | コメント(0) |
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帰国後は、神田川と公園に囲まれた土地に住んでいます。緑が多く大変気に入っています。神田川遊歩道を息子達と散歩しつつ考えたことや日々学んだことなど書き続けていきたいと思います。

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