ヘルス・コミュニケーション日記
もとヒヨっ子研究者の会社員2年生が、ヘルスケア領域の話題や子育て日記、趣味等思いつきで綴ります。
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【AIMモデル】HIV/AIDS予防をトータルに考える
過日紹介したLynnのクラスは(ここも)研究費申請の書類を実際に
書いていく講義・演習ですが、そのために彼らの研究室が
やっているHIV/AIDS予防プロジェクトの全容を理解する
必要があります。日本のエイズ研究者の方との共同研究に
参加している自分としてはHIV/AIDS予防を
ヘルスコミュニケーションの視点からレビューする
またとない機会です。

実際には正規履修の学生2名だけがLynnと缶詰になって
proposalを書き進め、他の聴講生(管理人を含め3名ほど)
は講義のディスカッションに参加させてもらって進捗を
見せてもらう、という形です。
今のところgames for healthの準備で余裕が無いので
コミットしてませんが、終わったら(実際の書く作業に)
参加させてもらいたいと思っています。いい機会なので。

過日紹介した教科書もすごくいいです。

本日はこのクラスで学んだAIMモデル(こちらでは
「エイムモデル」と呼ばれています)についてご紹介。
日本語文献を探ったところネットで分かる範囲では、
日本ではあまりメジャーではないようです。

今日のトピックはMSM(Men SEX with Men)のリスク行動を
どう予防するか、なぜ彼らはハイリスクな性行動を取るのか?
というお話で、最も感銘を受けたのがその背景の部分。

「MSMにとってのキャリア・パス、future selvesは何か?」

という問いです。性行動の意味や仕組みを少し引いて捉えると、
結婚・妊娠・出産・育児・家族(家庭を持つ)という
要素があります。法的にまだ同性結婚がメジャーでない現在、
一部を除くMSMにとってこれらは与えられてない人生の
道筋、ということになるかもしれない。

社会的制限によってハイリスク性行動の心理的・環境的な
要素が「社会的に」構築されているとしたら、責任の範囲が
かなりかわってきます。真偽のほどはさておき、「予防」
を主な目的の1つとするヘルスコミュニケーション上、
非常に大事な視点だと思います。

この点まで自分は思い至っていなかったので、Lynnの問いに
感銘を受けたのだと思います。「予防」を当事者の視点で
見ていく、ということは、ここまでトータルに考えるという
ことであり、当然のことなのですが、「コミュニケーション」
にばかり目が行くとつい近視眼的になってしまう自分を
感じました。

こういった「トータルに見る」「未来の自分」像を理解する、
ことの重要性はAIMモデルで示されます。

AIM(Adult Identity Mentoring)モデルとは、
教育や心理分野から出てきたモデルのようで、
もとはFuture Selves Theoryという(日本語訳するなら
「未来の自分」理論?)理論がもとになっています。
Future Selves Theoryとは、自分の未来像を明確に
構築させるためのスキルを教えることで、自己評価や
職業意識を向上させることができる、というもの。

これに他の方法論などを統合してできたのがAIMモデル、
またはそれを使ったAIMプロジェクトだそうです。
(詳細は前回紹介の論文を参照願います)

主にSES(社会・経済状況)の低いマイノリティの小学校
などで人による介入プログラムとして発展してきました。

平たく言うと「どうせ俺(私)なんて」と未来にあまり
夢のない子供達に、学校で数週間に渡る介入プログラムに
参加してもらうと、最後には自分の夢を語り、その夢に
近づくための現実的な知恵と方策を語ることができるように
なる、というものです。

STDやHIV/AIDSの感染リスクの1つに「自己評価が低い」
(「どうせ自分なんて」という感性)というのが
あるのですが、この部分が改善することで、感染リスク
(危険な性行動をとる可能性)を下げることができる、
ということでLynnたちはAIMモデルをヘルスコミュニケーション
その中でも特にHIV/AIDS予防に拡張しようとしているのです。

Lynnたちのオリジナリティーは、人による(in-person)介入
ではなく、virtual agentsと呼ばれるアニメ・キャラや
CGキャラクター(アバター)、インタラクティブ・ビデオ
の登場人物達を使ってこれをやろうとしている点です。
自分にとっては、この辺からシリアスゲームの世界と
かぶってきます。

Lynnたちが作成・評価した
インタラクティブ・ビデオはこちらで一部公開されています。
このビデオの司会者である2人組も気楽なゲイのお二人です。
(このビデオ、ベッドシーン満載で度肝を抜かれましたが、
コンドーム使用の交渉技術や知恵について楽しみながら学べる
仕組みになっています)

AIMのMであるMentorとは、
日本語でいうと「頼りになる先輩」的な
ニュアンスが在ると思います。「先生」色が強くなく、
もう少し「先輩、仲間」というイメージでしょうか。
教条的で押し付けがましいのではなく、必要におうじて
道筋を自然に示してくれるような先輩、というイメージ。

前述したFuture Selves Theoryに、mentorの要素を負荷する
ことで、より効果を強めることが出来る、ということの
ようです。

「トータルに見る」に話を戻すと、MSMに結婚や育児
(妊娠は生物学的に無理だとしても)や家庭・家族を持つ、
というセックスに付随した人生のキャリア・パスをはじめ、
職業的な制限がなくなり、社会的外圧や制限が無くなれば
MSMのハイリスク性行動は減るのでしょうか。
わかりません。またそういった社会的制限をなくすことも
現行では現実的でないかもしれません。
が、そういった視点は非常に重要です。特に予防を考える
人間にとっては。「予防」した結果、どこを目指すのか、
人生のどこに誘導するのか、という部分です。そこまで
責任をもってはじめて「予防」をやっている、と言えるの
かもしれません。

まだ理解が浅いうえに考えがまとまりませんが、
この場を借りて整理していきたいと思います。
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【2006/09/18 23:53】 | USC講義関連 | トラックバック(0) | コメント(0) |
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東京都世田谷区在住のじょに~です。長年慣れ親しんだ杉並区を離れ、先月隣の区に引っ越しました(ついでにハンドルネームも会社で頂いたコードネーム?に改名^^;)。興味があるのはヘルスケア領域のビジネス、ヘルスコミュニケーション(特にメディア経由)、シリアスゲームの医療健康分野における活用、医療ドラマ、医療者患者関係、医師支援、ワークライフバランス、翻訳、子育て、映画など。数年前南カリフォルニア大学(USC)でヘルスコミュニケーションについて学びました。帰国後は企業で医療分野のビジネスに取り組んでいます。通信制MBAでMBA取得。もともと看護師ですが博士号(医学)は社会医学領域で取得。シリアスゲームによるヘルスコミュニケーションにも興味を持っています。
引越し先にも慣れ、世田谷の畑の多さに驚きつつ、近所や公園を二人の息子達と散歩しつつ考えたことや日々学んだことなど書き続けていきたいと思います。

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