先日書いたエントリでin-store health clinicを
「店内クリニック」とか「コンビニ病院」とか訳して いましたが、後者は日本では誤解されることが多そうです。 ぐぐってみると、最近の記事は結構同じ意味で使われています が、こことかここなどでは別の意味 (コンビニエンスストアのように24時間いつでも空いている 病院、という意味や、住民に便利に活用してもらえる病院、 という意味合い)で使われてますね。 この訳語「コンビニ病院」についてちょっと考えてみます。
自分が書いた記事は看護系の雑誌ですし、依頼時から
「コンビニ病院」という訳語は決まっていたのですが (恐らくテレビで特集されたり、雑誌の記事紹介などの 際につけられた呼び名でしょう)、よく考えると ちょっと変です。 米国で増えつつあるin-store clinicは、日本語でいう 「病院」ではありませんし(入院病床はないし、 せまいスペースに小さい薬局みたいな感じで店子として 入っている)、扱える疾病も限られているし、 コンビニように大抵のものが手に入る、という便利さで いうと、疾病全体に対する対処可能な疾患の割合が ちょっと物足りない感じがします。 それに高齢者・3歳未満の小児や乳児・慢性疾患の 方などは診察してもらえません。 医師や救急病院との連携を謳っているので そういう意味では「安心」なのかもしれませんが、行けば 大抵のものはそろう、という「コンビニ」のイメージと はかなりずれています。 個人的にはやはりクリニック、という言葉を使う方が 業態を正しく表現した訳語だと思います。 クリニックが入っているお店自体も24時間空いている コンビニではなくドラッグストア(24時間のもあるし、 そうでないのもあるが、後者の方が多い印象) やウォルマートやターゲットなどの巨大スーパーの 店内にあるので、「店内」や「ストア内」 とつくのが自然です。 それにクリニック自体は9時〜20時くらいの営業時間と 24時間営業のところはほとんどありません。 日本語の「コンビニ」の定義からもはずれます。 米国にもコンビニはありますし、日常生活上も こういった店舗と概念上も言葉上も区別されています。 というわけでやはり自分の好みの訳語としては 「店内クリニック」。 ・・・なんてくどくどと書いても、「コンビニ病院」という 耳障りの良い訳語には勝てないんだろうなあ。 わかりやすくないと雑誌の記事やタイトルとしても 不適格なわけですしね。こうやってもとの意味がずれて 認識されていくのでしょうね。 翻訳の難しさを感じた単語でした。 やはり背景に医療制度(保険制度や医療インフラ)の違い があるから、ずれやすい・わかりにくいのだと思います。 一般の翻訳もその国の文化や歴史を理解した上で 考えないといけないのと同様ですね。 最近やっと翻訳という作業の「恐ろしさ」に気付き始めました。 ![]() |
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