FC2ブログ
ヘルス・コミュニケーション日記
もとヒヨっ子研究者の会社員2年生が、ヘルスケア領域の話題や子育て日記、趣味等思いつきで綴ります。
「何がわからないのかがわからない」人に対するアプローチ
個人的なメモになってしまうかもしれないが少し考えたい。

より厳密に言うと「何がわからないかがわからない」という
自覚を持った人はすでにある枠組みに乗っかれているので
この場合は問題なくて(それは教育の技術の問題になると
思うから)、
ここでは相手が「何がわからないかがわからない」
という自覚すらもっていない場合の話がメインになる。

そういう人に対してアプローチする際に
どうしてもでてくるのが「おせっかい」度の評価である。

(内容関係ないかもしれないんですが、なんとなく)
例えば自分の専門であるヘルスコミュニケーションで言うと、
一般向けのエイズ予防や糖尿病予防(+その他の生活習慣病予防)
などは、明らかに本人の利益になるであろうことを
押し付けようという試みであり、本人の自覚的なニーズと
必ずしも一致しない(そもそも自覚していればそんな取り組み
は半分も必要なくなるかもしれない)。
それは自虐的に言うとかなり「おせっかい」なのである。

とはいえ、これは学校教育でも同様の部分があるだろうし、
人と関わる、という事象には多かれ少なかれ生じること
だろう。友人・親戚関係でも同様か。

学校教育も特に若いうちは「勉強したい」「勉強すべき
内容がある」「~について知りたい」などという自覚は
ほとんどの学生が持っていない。大学ですら怪しい。
となると、教える側の「おせっかい」という部分は
多かれ少なかれ存在するはずだ。
教師とはある部分、おせっかいな気質をもった人たちの
ことなのだろうか。

自分はけっして「おせっかい」を否定しているわけでも
不要だといっているわけでもない(知っている人は
何より僕自身が相当「おせっかい」な人間であることを
ご存知だろう)。そんな自身に対する問いかけなのだ。
「どこまでおせっかいを通す大義名分があり、どこからは
そうでないのか」

自分が学んでいるヘルスコミュニケーション業界の
「おせっかい」を体現している言葉として
"Outreach"という言葉がある。これは英辞郎によると
--------------------------------------------------
outreach
【名-1】 手を伸ばすこと
【名-2】 規定[現状]以上のサービス[援助]
【自動】 手を伸ばす、手を差し伸べる、行き過ぎる、
度を超す、策略で利益[利便]を得る
【他動】 ~より遠くに届く、~を超える、~より多い
--------------------------------------------------
とのこと。
一長一短ある感じの言葉だ。
手を差し伸べる反面、度を超す可能性があるという。
英語の語感を正しく理解することは難しいことだが、
この言葉の持つ両面性は自分にとって非常に示唆的だ。

教育とはなんだろうか、と考える際に自分はどうしても
こういう部分に思いを馳せてしまう。
本人が学びたいことを自覚的に理解していて(対象者が
ニーズを自覚していて)、それにフィットした教育や
情報提供・コミュニケーションが図れることが理想かつ
「わかりやすい」が、そうでない場合が現実には多い。

マーケティングや宣伝・広告、キャンペーンなども
その上に成り立っている営みだし、
学校教育も部分的にはそうだろう。
宗教の普及活動もかなりその面は内包している。

またやっかいなことに教育制度やマスメディアは使い方を
間違うと(首謀者にとっては「うまく活用すると」)
プロパガンダとしての側面を強く持つ事象なので、
その点への配慮も必須だ。倫理的側面ということになる。

専門書だが事例中心で非常に読みやすい。
Entertainment Educationに関しても少し言及されている。

何が正しいキャンペーンで、何が一部の人の利益誘導や
思想を押し付けるだけの犯罪的なプロガンダなのか、という
線引きの問題である。ヘルスコミュニケーション研究者は
常にこの危険性を自覚しているべきである。

USCで自分が学んでいるヘルスコミュニケーション研究や
メディア・キャンペーン研究の教授たちは「エビデンス」
の一言でこの質問を解決する。今人類が持ちえる最高の
英知を結集した(たとえそれが不完全なものでも、他に
選択余地が無い場合が多いので=科学、ということかも
しれない)「根拠」をもとに、この「おせっかい」の
許容範囲をピア・レビュー(専門家同士の相互批判・相互
評価)の末、設定するのだ。
英語圏ではこの領域の倫理的側面に関する蓄積も非常に豊富だ。

と、ここまでは公共性や公益性の議論で解決する話。

では、家族内、親友間、親戚間などではどうだろうか?
ましてや恋愛感情のある対象者に対しては?
日ごろの付き合いやそれまでのお互いの歴史にもよるが、
このさじ加減はさらに難しくなる。
感情が邪魔して理屈が通らないことも多いし。
身内だからこそ許せない、言うことを聞きたくない
という面もあるだろう。

単に困っている相手への助言ならその人の
「気づきのタイミング」も重要だろう。同じことを
言っても本人が気づいていなければ意味がない。
後に残る言葉を投げられれば後々意味が出るのだろうが、
常人にはなかなかそういう「気の利いた言葉」は
思いつかない。

そもそも自己の信じるところへの誘導に
なってしまう側面は否めないから、「押し付け」という
側面をなくすのは難しい。「良かれと思って」という
状態も非常に曲者だ。Smapのコントで「あなたのために」
ってのがあったなあ(中居君が演じてたキャラ)。

大抵の場合、想いが先行して空回りし、
相手に投げた言葉も、その相手からすると「?」って感じで
相手の記憶に残らず実効力を持たない。相手の役に立ちたい
と思っているが、相手の反応性が悪かったり、こちらの
言っていることの意味を本当には理解できなかったりと
いうことを繰り返すと助言する方も燃え尽きてくる。

そう、「何がわからないかがわからない人」へのアプローチ
として、「おせっかい」と「タイミング」というのは
2大要素かもしれない。
いや、もう一ついるな。「お膳立て」だ。
相手にニーズや自身の可能性を気づきやすくし、
実行に移す・継続する環境を整えてあげる、という
意味でのお膳立て。

仮説3要素:「おせっかい」「タイミング」「お膳立て」
(性質上「おせっかい」は「お膳立て」を内包する上位概念かもしれないが)

「タイミング」で大切なのは「待つ」ということなのかも
しれない。人を育てるのは時間がかかる。生徒や教え子
の成長や「聞く耳を持つ」タイミングを「待つ」姿勢は
指導者や教師には必須の素養だろう。
しかし、エイズに対する認識が高まるのを「待って」いては
知らずに罹患する人が「犠牲」になる、という構造が
ある。この辺がヘルスコミュニケーションの本質かも
しれない。

研究者や医療者として「職業として」接する部分に関しては、
「おせっかい」の程度は基準が引ける。
「お膳立て」も「タイミング」も同様だ。
しかしどんな仕事をしている人でも人間個人から離れて
仕事をするわけではないし、大抵の場合感情に左右されて
日々の仕事は進んでいく。
ドラマや映画はそういった「人間」の部分を社会や規範、
一定の縛りの中で(もしくはそれを逸脱して)描くことで
真骨頂を発揮するが、
システムや制度で解決できない部分にこそ、人間らしい特質が
解決の糸口を与えることはあるのだろう。

漫画「ブラックジャックによろしく」で主人公の研修医斉藤が
かなりおせっかいなキャラとして設定されているのも
納得がいく。
医療という観念性の高い制度・縛りのもとでの劇作を
考慮すると理解できることだ。

他にも劇作の世界で同様の事例はたくさんありそうだ。

人間らしい特質、というのは漫画「寄生獣」の弁を借りれば
「心に暇のある生き物」としての人間、という部分だろう。
他者に関わろうとする特質・他者におせっかいをやく暇な生き物、というわけだ。


現実的には、教育や社会サービス・システムや制度といったものの
「おせっかい」度で解決できる部分は解決して、
無理な部分は芸術やサブカルチャーや娯楽・アルコールや
恋愛や風俗産業の担当、というのが
この世界のごく普通のあり様なのかもしれない。
(書いていて気づいたが、Entertainment Educationとは
まさにこの2つの世界の利点をつなごうという試みだ)

多分に未整理な個人的考察になってきたのでこの辺で
やめるが、そういった「おせっかいの線引き」については、
自分のような生来おせっかいな人間は、
悩みながらさじ加減を覚えていくしかない
ということなのだろうと思う。
(仕事もおせっかいな性質のものだし)
スポンサーサイト



【2005/11/09 01:22】 | お仕事・研究・学び | トラックバック(0) | コメント(1) |
<<英語のこと | ホーム | 親馬鹿上等!!>>
コメント
このコメントは管理人のみ閲覧できます
【2005/11/14 12:06】 | #[ 編集]
コメントの投稿












管理者にだけ表示を許可する

トラックバック
トラックバックURL
http://healthcomm.blog32.fc2.com/tb.php/27-9641aab9
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
ブログ内検索

最近の記事

カテゴリー

プロフィール

じょに~

Author:じょに~
**お探しの情報は上のサイト内検索かカテゴリから探索願います** 古い記事は下の方の月別のリンクからどうぞ。
----------------------
東京都世田谷区在住のじょに~です。長年慣れ親しんだ杉並区を離れ、先月隣の区に引っ越しました(ついでにハンドルネームも会社で頂いたコードネーム?に改名^^;)。興味があるのはヘルスケア領域のビジネス、ヘルスコミュニケーション(特にメディア経由)、シリアスゲームの医療健康分野における活用、医療ドラマ、医療者患者関係、医師支援、ワークライフバランス、翻訳、子育て、映画など。数年前南カリフォルニア大学(USC)でヘルスコミュニケーションについて学びました。帰国後は企業で医療分野のビジネスに取り組んでいます。通信制MBAでMBA取得。もともと看護師ですが博士号(医学)は社会医学領域で取得。シリアスゲームによるヘルスコミュニケーションにも興味を持っています。
引越し先にも慣れ、世田谷の畑の多さに驚きつつ、近所や公園を二人の息子達と散歩しつつ考えたことや日々学んだことなど書き続けていきたいと思います。

プロフィール詳細はこちら参照ください。

*運営ポリシーについて
当ブログはリンクフリーです。
トラックバック機能はエントリによっては使用しません。あしからずご了承ください。ご意見・ご批判・ご質問歓迎しますが、建設的・学術的な批判以外の個人の誹謗中傷・管理人に関わりの無い宣伝広告目的のもの・意味不明なコメントやTBは削除する場合があります。

*コメント・TBについて
スパムがひどいので日本語限定&承認制にしてあります(最近スパムコメントが急増してサーバー制限をしているのでうまくコメントできない場合があります。その場合は以下にメールください)。
takabeppu[at]gmail[dot]com
[at]をアットマークに[dot]を.に代えて送信願います。

*アフィリエイトについて
書籍・音楽CD等の紹介の際、amazonその他のアフィリエイトを使用しています(Google Adsense検討中)。

カレンダー

08 | 2019/09 | 10
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 - - - - -

月別アーカイブ

リンク

おすすめサイト はないろ よしきくん

このブログをリンクに追加する

RSSフィード