サッカーの(現、英国チェルシー)監督らしいですね。 若くして驚異的な戦績を持つ知将として有名です。 ポルトガルのサッカーやプレミアリーグに 詳しいわけじゃないのですが、リーダーシップの 参考資料として読むと非常に学びの多い人だと思います。 あ、ヘルスコミュニケーション的にも使える部分が 一箇所ありました。
リーダーシップの観点からは以下が印象的。
1.コミュニケーション能力 ・選手に様々なことを「気付かせる」ノウハウの緻密さと豊富さ: 「自分で考えさせる」という点はジーコ監督と同じことを 言っているように見えますが、細かい具体的な場面を 設定してその場で選手同士で話し合いをさせ、 コンセンサスを作っていく、という作業を短時間で (ポルトガルのチーム時代は2ヶ月ほどで)効率よく 行っていきます。結果や場面の記述から判断すると、 ジーコとはまったく違う質の監督であるように思います。 引き出しの多さと質の高さは、監督としての資質の高さと コミュニケーション能力以外の何者でもないと思います。 ・マスコミの活用の仕方 マスコミ発言や発表は、常に「選手とのコミュニケーション」 に焦点が絞られていて、選手を鼓舞したり刺激したり誇りを 感じてもらうために活用しています。感心しました。 対戦相手との舌戦も、選手に良い影響を与えるように、 外部のメディアや圧力者から選手を守るために注意深く 戦略的に言葉や態度が選ばれています。 「社員のモチベーションを挙げるためのコミュニケーション手段」 としてメディアを位置づけている経営者、というのは 日本の企業にどれくらいいらっしゃるのでしょうか。 2.柔軟性 ポルト(ポルトガルで記録的な成績を収めた)時代に チームを総入れ替えしてシーズンを戦う(1試合ごとに違う チームにする)、ターンノーバー制という方法を選択し、 見事に成功を収めています。既成概念に囚われず、 限られた資源をいかに効果的に活用するか、という 理詰めの思考の結果得た答えは愚直に遂行する、という 姿勢が素晴らしいと感じました。 常識に囚われない、というのはプレッシャーの強い職業では 簡単なようで難しい資質です。 日本人でこれが出来る人はどういう背景や教育を受けてきた のでしょうか?これについては作家の村上龍さんと 中田英寿選手の対談本「文体とパスの精度」に ヒントがありました。 いわく 「人(先生)のいうことを聞かない」 「常に与えられたものを疑い、必要なことを自分で考える」 だそうです。 ⇒こういう資質は「教育できない」ということに なってしまいそうですが、やり方次第でしょうか? 3.人間性(理念) 彼はどのチームに行ってもまず2つの約束を選手にしています。 1)自分のトレーニング方法に従ってくれれば必ず成長させる 2)何事も選手本人にまず直接知らせ、嘘をつかない ある意味でコミュニケーション能力の基礎となる資質だと 思いますが、彼はこの2つを徹底して守ります。 前者はサッカー選手にとって普遍的なニーズであり 切実な目標です。自身の戦術能力・育成能力に自信が ないとできない約束ですが、選手の態度がその実力を 証明してきています。後者はまずリーダーとして 信頼を得ることで、選手が個人的な欲を捨て、 for the teamとしてのマインドを手に入れる チーム作りを加速させる効果がありました。 また、そういった理念を理解し従える選手をうまく 選択した、ということでもあり、新規に選手を獲得する 際の人を見る目がある、ということでもあるようです。 さて、ヘルスコミュニケーションの視点からも 印象的だったのは以下の部分です。 例によって勝手に引用(pp177-178)。 彼はポルトガルのポルトというチーム時代にペイソト という優れた選手(前十字靭帯損傷)のひざの手術に 立ち会います。 「私は勇気を出して、手術を見守ることにした。 チャンスがあるのなら、私にとってもセザール(ペイソト 選手のファーストネーム)にとっても、大事なことだと 思ったんだ。私にすれば、どんな手術が行われたのかを 知っておけば、ケガの回復具合を見ていくうえで、役に 立つと思った。セザールにとっては、人生で大変なときに、 自分のボスがそばについていてくれるのは、心強かった はずだ。私は彼に『早くよくなるんだ。お前の復帰を みんな待っているぞ』と声をかけていたよ。 手術中、医師はオペの過程をすべて私に説明してくれた。 血の出ない、とてもクリーンな手術だったよ。 私は1つ1つの手順の意味を完璧に理解しながら、手術の すべてを見守っていた。一番印象に残っているのは、 骨に穴を開けるときのドリルの音と、電動メスを 使って腱を取り除く時の肉の焼けるにおいだった。 手術を見学することによって、このタイプのケガの ことがよくわかったよ。 また、私自身が態度を改めるきっかけになった。監督が、 選手やチームドクターに対して、ケガの回復を急がせる のはよくないとわかったんだ。私はケガをした選手にもっと 同情し、チームドクターの意見に耳を傾けるようになったよ。」 モウリーニョ監督は若くして数々の栄光を勝ち得てきた人の ようです。想像するに選手のケガに対する態度や意識で 幾分傲慢なところがあったと自覚していたのでしょう。 将(リーダー)というのは、どのような組織にあっても どのようなタスクを抱えていても、冷徹に駒である 選手や社員や部下や生徒を管理し、全体の目標達成の ためには、足並みのそろわない人を切り捨てる冷酷さが 時には必要です。ケガをした選手に対しても、仕えないなら 他の駒を・・・という発想についなってしまいます。 また、自信を持って自身の意思決定を遂行しなければ ならないので、時には傲慢に見えることもあるでしょう。 しかし、選手の手術に立ち会って、彼はいろんなことに 気付いたのでしょう。 誰でもケガをする可能性はあるということ、 スポーツ選手にとってのケガの意味や、選手を育て起用し ゲームに勝つために監督という存在はあるのだ、 ということなど。主役は選手(人)なのです。 ケガが他人事でなく、「自身の問題」となった瞬間だと 思います。 この「他人事⇔自分事」のシフトは、 ヘルスコミュニケーション上、非常に重要な「気付き」と 言えるでしょう(無理やり?)。 ま、人は考え方やものの見方次第で どんなことからでも学べる、ということで^^。 追記:モウリーニョ監督のインタビュー記事が 「サッカーの言葉 オオウチコム」さんで紹介されています。 モウリーニョ そのコーチ哲学 ご参考まで。 ウィキペディアにも結構詳しい記述がありました。 ジョゼ・モウリーニョ ![]() |
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