ヘルス・コミュニケーション日記
もとヒヨっ子研究者の会社員2年生が、ヘルスケア領域の話題や子育て日記、趣味等思いつきで綴ります。
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ヘルスコミュニケーションの前提・背景①:アメリカ社会について(その1)
ヘルスコミュニケーション研究および事業展開の
成立する前提や背景について何回かに分けて考えようと思う。
歴史や文化背景も含めて考えていくことが日米(または
日英・日豪)のこの領域の発展の違いを理解する上で
重要、と感じるからだ。

と、堅くはじめたけど、単にLA生活で感じたことを
書いただけ、ということになるかもしれない。
思いつくまま書いているのでご容赦ください。
というわけで今回は「アメリカ社会」について感じていること。
カテゴリ「LA生活」にも重複するエントリです。

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この本はもと臨床医で今は脳研究者の中田力先生のエッセイ。
サンフランシスコでER医師をされていたときのもので、
「日本人の目から見たリアルER」という感じ。
「医療・医学の基本は社会学」というような
記述があったかと思う(違ってたらすいません)。
激しく同意しつつ昨年読んだ。アメリカ社会と医療・医学の
接点を考える好著。臨床から研究への移行に興味がある
(院に行く前の)医師の先生方、参考になるかも。
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アメリカ社会は「引き裂かれた社会」だと言う人がいる。
同じアパートの住人たち(比較的いいとこの企業に勤めて
いるか、自身でビジネスを営んでいる知識も才覚もある
タイプの人たち)も「極端な格差のある社会」という。
「disparate」だと。

お金もちの層が非常に厚いことはお金持ちが多いことで有名
Palos Verdes EstatesManhattan BeachLaguna Beach
あたりを見て廻ると実感する。
(ちなみに住んでいるRedondo Beachはこんな感じ家賃は高くて安全な地域だが、
上記の土地よりも比較的ロコで庶民的な感じ。)

その逆もまたしかり、貧困層の層も厚い。
USCの講義によると、貧困層が健康被害において
ハイリスクであることは調査結果より明らかであるらしい。
「アメリカ社会は貧乏人に非常に残酷な社会である」、
というのも良く聞く話。ワイズマンの映画「福祉」など見ると
それはリアルに描写されている(*ワイズマンについては
後述)。

安全のために家賃は高いところに住んでいても、
内容は清貧生活(自転車操業生活?)な自分にも
よくわかることである。

自己破産の半数が高騰した医療費のせいだという現状も示唆的だ。
僕自身は、アメリカは「お金・情報・人脈」をうまく作れる・使える人には
居心地の良い国で、そうでない人には非常に住みにくい社会、
という印象を持っている。
ある程度の緊張感をいつも強いられる、という印象もある。

そういう生活のハリというか緊張感・社会の持つ殺気の
ようなものを楽しめるうちはいいのかもしれないが、
その余裕が無いとき、年をとったとき、病気になったとき等
はツライ社会かなと思う。
(そういう不安や恐怖感と裏腹な自己防衛政策は
「華氏911」の描く世界とシンクロするように思う)

一般消費者は自身の利益と健康を守るために、様々な
リテラシーを持たざるを得ない。お金のある人は大抵の
場合、ブローカー(仲介業)を活用できるが、無い人は
自身でやるしかない。
保険の選択・加入然り、医者の選択然り、買い物然り、
車の修理然り、仕事然り、子供の教育然り、税金対策然り。

この激しい格差を少しでも埋めるために医療・健康領域で
"health communication"や"Outreach"という概念・活動・研究
が発展してきたのだろうと推測する。
アウトリーチに関しては保険医療福祉領域ではこの報告書
教育・芸術領域ではこここここれが参考になるかも。

日本のマスコミでは規制当局である政府や
公官庁を仮想敵にして、日本の制度を批判し比較する
良い素材として米国の実例を挙げることが多い。
が、これだけの格差のある現状を見ると、
日本の方が全体として公平な公的サービス・均質な
公的サービスを提供している国だとわかる。
これは米国にある程度住んだ人なら日々感じ・理解している
感覚、と思う。

逆に考えると、均質な公的サービスや医療環境がすでに
ある程度整っている日本では、ヘルスコミュニケーションは
発達しないのか?という素朴な疑問が生じる。
答えは藪の中・・・という感じだが、自身はそのニーズを
感じている。つまり、医療・健康という専門家・非専門家間の
ギャップが激しくなってしまった場面ではその解決に特化
した方法論と人材育成(教育カリキュラム)が必須と思うからだ。

「阿吽(あうん)の呼吸」という世界的に見ても
ハイレベルなコミュニケーション能力を擁する国、日本。
そんな国だからこそ、現状(均質で公的なサービスは整っているが、
情報リソースの不足とコミュニケーションギャップがある)の
先にあるより良い専門家・非専門家関係を目指して
次のステップを進めるべきと思うし、その取り組みは可能と
思うのだ。

そのためには現状(「あうんの呼吸」レベルの医療現場コミュニケーション、
おまかせ医療、「評価調査を行わないキャンペーン」や
「勉強しない消費者」「リテラシーを持たない消費者」など)
を一度徹底して現状把握・整理・解体し、より自覚的で
生産的な方向へ再構築することが重要だと思う。
そのための方法論・評価方法が必要だ。

具体的にはマスメディアを通じたヘルスコミュニケーション
研究や事業展開の方法論であり、
メディア・キャンペーンのデザイン・評価方法であり、
医療者(医学生・看護学生・その他)への
ヘルスコミュニケーション全般に対する教育である。
メディアだけに社会が変えられるわけではない。
学校教育(一般・専門両方)との両輪で社会は変わる。
一般の学校教育で一般市民はリテラシー(情報を収集し判断し活用する方法)を学び、
専門教育で医学生や看護学生やコミュニケーション学科の学生
は具体的なヘルスコミュニケーション技法と背景理論と
マスメディアを通じたヘルスコミュニケーションについて
学ぶのだ。

地道な学校教育活動と一見派手だが実は周到な準備と
専門的なノウハウを要するマスメディア活動、
その両輪がヘルスコミュニケーションの発展に必須なのである。
これは自分の勝手な妄想ではない。Diffusion of Innovation
理論を開発し社会への応用を推進したRogersも言っていることだし、
大抵のメディアキャンペーン評価論文の結果が示している
ことである(教育歴や教養レベルとメディアキャンペーンへの
反応性は非常に強い関連性がある)。

自分はそういった方法論や理論をUSCで日々学んでいる。
日本式の何が良くて何がまずい(ニーズにあっていない)のか。
米国式の何が良くて何がまずいのか。
一長一短ある日米のあり方をバランスよく見ていく必要
を感じている。

近い将来、日本においても科学コミュニケーションの文脈と
医療情報学・公衆衛生学・予防医学の文脈がクロスして
必ずヘルスコミュニケーションの人材育成・研究発展の
必要性が叫ばれる時が来ると思うのだ。
(臨床現場で医療者が感じていることとそう違わない
ことを言っていると自分では思うのだが)

それは「医療情報提供」という一方向的な言葉ではなく、
「(ヘルス)コミュニケーション」という言葉であって欲しい
という勝手な想いがある。

一般市民・利用者・患者の立場からすると、名前はどうでもいい、
内容をよくしてくれ、という叫びがある。
が、名は体を現す。
相互に理解しあう、通じ合うという理念を目指した取り組みで
あるべきと考える。
厳密には実現不能な目標であっても関係者はそれを目指すべきなのだ。
「青年の主張」のように。

専門家が情報を提供して終わり、ではなくどのような
方法・メディア・ツールを使って、どのような形で提供すれば
わかりやすいのか、どう話し合えば納得してもらえるのかを
追求する取り組みであるべきだし、
またどう改善していけばいいか利用者からフィードバックが
得られる環境、そしてそのフィードバックが確実に活かせる環境が
必要と思うからだ。

絶対的なゴールが無い・不確実性がゼロにはできない・患者
や一般市民それぞれの個別性が高い医療・健康推進という営み
だからこそコミュニケーション努力が必須であるはずなのだ。

すでにガン医療では患者・一般市民向けの情報センター構想
が始まっていると聞く。
大阪大学にもコミュニケーションデザインセンターが出来た。
他にも科学コミュニケーション分野は花盛りである。
すでにその足音は聞こえてはじめている。
(まあそんな時代が万一来なければ、
 こっちで働くしかないんだけれども)

話は「アメリカ社会」に戻るが、映像で「アメリカ社会の実像」を追ったのは
フレデリック・ワイズマン(ドキュメンタリー映画監督)が
有名だ(こちらも)。彼の映画はほとんとビデオになっておらず、日本で
流通していない。米国ではどうだろうか?調べてみる価値は
ありそうだ。
公的図書館などの映像アーカイブが充実している国だし。

以下は読んでないけど、このようなアメリカ社会を
考える上で参考になりそうな本たち。どなたか既に読んだ方が
いれば感想聞かせてください。
他にこのトピックで考えさせられるような本をご存知の方、是非ご教示ください。




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東京都世田谷区在住のじょに~です。長年慣れ親しんだ杉並区を離れ、先月隣の区に引っ越しました(ついでにハンドルネームも会社で頂いたコードネーム?に改名^^;)。興味があるのはヘルスケア領域のビジネス、ヘルスコミュニケーション(特にメディア経由)、シリアスゲームの医療健康分野における活用、医療ドラマ、医療者患者関係、医師支援、ワークライフバランス、翻訳、子育て、映画など。数年前南カリフォルニア大学(USC)でヘルスコミュニケーションについて学びました。帰国後は企業で医療分野のビジネスに取り組んでいます。通信制MBAでMBA取得。もともと看護師ですが博士号(医学)は社会医学領域で取得。シリアスゲームによるヘルスコミュニケーションにも興味を持っています。
引越し先にも慣れ、世田谷の畑の多さに驚きつつ、近所や公園を二人の息子達と散歩しつつ考えたことや日々学んだことなど書き続けていきたいと思います。

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