ヘルス・コミュニケーション日記
もとヒヨっ子研究者の会社員2年生が、ヘルスケア領域の話題や子育て日記、趣味等思いつきで綴ります。
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普及とは?:Diffusion of Innovation その1
日本では普及理論とか、普及学、またはイノベーション普及理論
などと訳されることの多いDiffusion of Innovationを開拓
した故E.RogersはStanfordやUSCで活躍した人で、
USCには彼ゆかりの研究者がたくさんいる。

これ絶版にして唯一の翻訳本。原著はこちら。

1950年代から盛り上がり、1時衰退して、近年また
学問的にも注目されている理論である。

網羅は勿論できないので、興味ある部分を一部紹介。
多分野で同時並行的に発展してきて、Rogersによって
集大成された。元々は新規開発されたトウモロコシ品種
(収益がより上がる)を農家の人々がどのようなプロセスを
経て採用するようになるか(新品種がどのように普及
していくか)などの研究が有名だ。

ポイントを簡単に
・普及は、イノベーションがコミュニケーション・チャネル
(口コミだったり、マスメディアだったり)を通して、
社会システムの成員間においてコミュニケート
される過程である。
・普及は、メッセージが新しいアイデアに関するもので
あるという点において、コミュニケーションの1つの特殊な
タイプである。

以下のイノベーションの採用者分類も有名である。
1.Innovator(革新的採用者)
2.Early Adaptor(初期少数採用者):
  大抵の「オピニオンリーダー」達はここに含まれる
3.Early Majority(初期多数採用者)
4.Late majority(後期多数採用者)
5.Laggards(採用遅延者:のろま)
社会におけるこの分類の大体の割合も調査によって
算出され、どのような社会・集団においても大体一致
していることが確認されている(下図)。

普及はS字状のカーブを描いて進む。
20060302083949.gif

S字カーブが急激に立ち上がる際に機能するのが
いわゆる「オピニオンリーダー」である。
誤解されやすいが、いわゆるオピニオンリーダーは
Innovatorではない。しかし、オピニオンリーダーは
普及の速度を速める存在であり、重要である。
Innovatorの次に採用する群にオピニオンリーダーが
多いことが確認されている。

こういう現象が理論的に確認されているのである。
よって「どうすれば普及を速められるか」が自ずと
見えてくる。つまり、先日紹介した「影響力のある人物」
へのアプローチのタイミングと方法
の重要性が示されている。
ヘルスコミュニケーション研究で重視されるのもわかる。

現代ではビジネス書や経営に関する分野で「イノベーション」
という言葉が書籍のタイトルを賑わしている。普及を
消費者の購買行動や社員管理に応用した例である。

管理人が今やっている仕事(論文)の延長で、以下もメモ。
医学領域に面白い歴史的な研究がある。

1950年代の米国で新規開発の薬剤(経口の抗生物質)が
どのように普及するか、を追いかけた研究である。

ミソはこの部分である
「システム内のオピニオン・リーダー(の医師)達は、
ひとたび(新薬の)採用に踏み切ると、今度はその
イノベーション(ここでは新薬の採用)についての自分の
主観的評価を、ネットワークでつながれた相手(日ごろ
付き合いのある医者仲間)へと伝え(口コミ)、そして
伝えられた者は、それに影響されて、新しいアイデアの
採用を考え始めるということである。」

上記翻訳本103ページより引用(カッコ内は管理人の補足)

これをKatzらは新薬が発売されてからの経過時間と、
ある地域の専門が該当する臨床医の80%以上の医師に
直接インタビューし、さらに彼らが口コミ情報を
もらった別の医師をたぐってインタビューし、
というSocial Network Analysisに基づいた
調査で明らかにしたのである。

これは1950年代のことなので今ほどメディアが
発達していたわけではないが、製薬企業の宣伝マンはいたし、
ラジオや紙の広告は出回っていたそうで、それらの
情報が在っても、行動変容(新薬の採用)には至らなかった
医師たちが、自分が信頼する(または商売敵の)別の医師
からの口コミによって強く影響されていたことを示していた
(のちにメディアの影響が再評価されたが)。

つまり普及に口コミの影響が明確に実証されたわけである。
前述したトウモロコシ研究と同時期に全く別個に発展した
この2つの領域の研究成果は非常に酷似しており、当事者を
驚かせたらしい。革新的な医師(農夫)は情報を求めて
行動していたし、革新的な医師(農夫)ほど経済的に
恵まれた患者を持っていた(高収入を上げていた)。

Rogersの弟子の一人であるValenteは上記Social Network
Analysisの専門家でもある。このSNAは政策研究では
非常に強力な方法論だそうで、Valenteの講義のクラスメイト
20名のうち8名が公共政策大学院の院生たちだ。

日本の政策研究や公衆衛生研究の領域において、
このDiffusion of Innovationやそこから
発展したSNAの知名度はどれほどなのだろうか・・・

より深く実践的に理解して研究に活用したい。
(今回は触りだけなので後日続きを書きます)
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【2006/03/02 08:47】 | お仕事・研究・学び | トラックバック(0) | コメント(1) |
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東京都世田谷区在住のじょに~です。長年慣れ親しんだ杉並区を離れ、先月隣の区に引っ越しました(ついでにハンドルネームも会社で頂いたコードネーム?に改名^^;)。興味があるのはヘルスケア領域のビジネス、ヘルスコミュニケーション(特にメディア経由)、シリアスゲームの医療健康分野における活用、医療ドラマ、医療者患者関係、医師支援、ワークライフバランス、翻訳、子育て、映画など。数年前南カリフォルニア大学(USC)でヘルスコミュニケーションについて学びました。帰国後は企業で医療分野のビジネスに取り組んでいます。通信制MBAでMBA取得。もともと看護師ですが博士号(医学)は社会医学領域で取得。シリアスゲームによるヘルスコミュニケーションにも興味を持っています。
引越し先にも慣れ、世田谷の畑の多さに驚きつつ、近所や公園を二人の息子達と散歩しつつ考えたことや日々学んだことなど書き続けていきたいと思います。

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